非英語圏市場のSEO:何が変わり、何が変わらないのか
SEOの基本は世界共通です。しかし、言語、検索行動、主流のプラットフォームは市場によって大きく異なります。海外展開の前に知っておくべきことを解説します。
英語圏の企業が非英語圏の市場に進出するとき、SEOはローカライズを考える順番が最後になりがちで、そして真っ先に期待を裏切る領域でもあります。ホームページを翻訳し、せいぜい製品ページまで翻訳して、ドイツや日本、ブラジルからのオーガニック流入が伸びないのはなぜかと首をかしげます。たいていの場合の答えは、翻訳をローカライズだと考えていたこと。この2つはまったく別のものです。
翻訳は、ある言語の言葉を別の言語に置き換えることです。ローカライズは、特定の市場の人々が実際にどう考え、検索し、意思決定するかに合わせて、コンテンツを適応させることです。翻訳が完璧でも、ローカライズがお粗末ということはあり得ます。そしてSEOにおいてローカライズがお粗末だということは、的外れなキーワードを、的外れな切り口で、的外れな検索エンジンに向けて狙っているということです。
既存のコンテンツを翻訳して公開するだけでは、国際SEOとは言えません。それはスタートラインにすぎません。本当のレースは、その市場の人々が、あなたの扱う商品やサービスを実際にどう検索しているかを調べるところから始まります。
世界共通の要素と、市場ごとに変わる要素
| SEOの世界共通の要素 | 市場・言語によって変わる要素 |
|---|---|
| 検索意図がすべてを左右する 情報収集型、ナビゲーション型、取引型の検索意図は、どの言語でも同じように働きます。コンテンツの種類を検索意図に合わせるという原則は変わりません。 | 主流の検索エンジンは異なる ほとんどの市場ではGoogleが優勢ですが、中国ではBaidu、ロシアではYandex、韓国ではNaverが首位です。それぞれ、ランキングシグナルや技術要件が異なります。 |
| ページ速度とCore Web Vitals 高速に表示されるモバイル対応のページは、どこでも順位が上がりやすくなります。平均的な通信速度が遅い新興市場では、成熟市場以上に速度が重要です。 | 言語だけでなく、キーワードの語彙が異なる キーワードの直訳は当てになりません。「プロジェクト管理ソフトウェア」はドイツ語では「Projektmanagement-Software」ですが、ドイツ語話者は代わりに「Aufgabenverwaltung」(タスク管理)で検索することもあります。ネイティブスピーカーによるキーワード調査が不可欠です。 |
| 高品質で本当に役立つコンテンツ あらゆる言語のあらゆる検索エンジンが、検索クエリに本当に応えるコンテンツを上位に表示しようとしています。この要件は世界共通で、内容の薄いコンテンツはどこでも上位に表示されません。 | 求められるコンテンツの長さが異なる 日本語やドイツ語の検索ユーザーは、米国のユーザーよりも長く、より網羅的なコンテンツを求める傾向があります。ラテンアメリカ市場では、より会話調で率直な形式が好まれることがあります。現地の慣習に合わせましょう。 |
| 内部リンク構造 関連するページ同士をつなぎ、評価を受け渡して、読者がさらに多くのコンテンツを見つけられるようにすることは、世界共通のランキングシグナルです。この構造は、言語に関係なく同じように機能します。 | hreflangの実装が重要 hreflangタグは、どのユーザーにページのどの言語・地域バージョンを表示するかをGoogleに伝えます。実装を誤ると、市場をまたいで順位が互いに食い合う「カニバリゼーション」が起きます。これは国際SEOで最もよくある技術的な失敗です。 |
| 被リンクは権威性のシグナル 信頼性の高いウェブサイトからの外部リンクは、Googleが使われているあらゆる地域で強力なランキングシグナルです。Google以外の市場ではシグナルの種類こそ異なりますが、権威性が重要であることに変わりはありません。 | 現地でのリンク獲得は別の作業 英語サイトからのリンクは、ドイツ語や日本語の検索結果で順位を上げる効果が限定的です。リンク獲得の取り組みは市場ごとに別途必要で、現地のメディア、ディレクトリ、コミュニティが対象になります。 |
| タイトルタグとメタディスクリプションが重要 すべてのページに、重複しない、キーワードを含んだタイトルタグと、魅力的なメタディスクリプションが必要です。文字数の制限は同じです。ページの広告として書くという原則は、世界共通です。 | メリットの伝え方は文化によって異なる 個人の成果を強調する見出しは、米国市場では効果的ですが、日本市場では逆効果になることがあります。社会的証明を使った訴求(「5万社が信頼」など)も、文化によって響き方が異なります。言葉だけでなく、メッセージそのものを適応させましょう。 |
| モバイルファーストインデックス Googleは、サービスを提供しているあらゆる地域で、サイトのモバイル版をもとにインデックスと順位付けを行います。アフリカの大部分や南アジア、東南アジアなど、モバイルインターネットが主流の市場では、これはさらに重要です。 | ccTLD、サブディレクトリ、サブドメインの選択 国別コードトップレベルドメイン(ccTLD。de.example.comではなくexample.deなど)は、検索エンジンに強い地域シグナルを送ります。最適な構成は、予算、ドメインの評価、各市場のコンテンツの違いの大きさによって決まります。 |
ほぼ誰もがやってしまうhreflangのミス
hreflangは、どのユーザーにページのどの言語・地域バージョンを表示するかをGoogleに伝えるHTML属性です。正しく実装すれば、フランス語で検索するフランスのユーザーにはフランス語コンテンツが、フランス語で検索するベルギーのユーザーにはベルギー向けに調整された別バージョンが表示されます。誤って実装すると(実際、非常によくあることですが)、同じ検索結果の中で複数のバージョンが互いに競合し、どれも順位が上がらず、Googleが誤ったユーザーに誤った言語を表示する可能性もあります。
最もよくあるミスは、デフォルト言語版のhreflangを省略すること(すべての言語版は、他のすべての言語版を参照する必要があります)、誤ったロケールコードを使うこと(地域差がある場合は、「fr」のような言語コードだけでなく「fr-FR」のような言語・地域コードを使います)、そしてhreflangタグをcanonicalタグと矛盾のない状態に保てていないことです。専門的に聞こえるのは、実際に専門的だからです。国際SEOの中でも、専門家に実装を監査してもらう費用がすぐに回収できる数少ないケースの一つです。
非英語圏への展開で最も大きなSEOの間違いは、英語のキーワードを翻訳し、その翻訳語を狙うことです。キーワードの語彙は、翻訳から予測できません。スペインのスペイン語話者とメキシコのスペイン語話者が、同じ商品に対してまったく違う言葉を使うことは珍しくありません。日本語の検索ユーザーは、文脈に応じて、外来語をカタカナで音写した言葉と日本語本来の言葉を使い分けることがあります。信頼できる唯一の方法は、現地の言語でキーワード調査を行うことです。対象市場向けのキーワードツールを使い、できれば言語だけでなく、その市場の検索行動を理解しているネイティブスピーカーに関わってもらいましょう。
Google以外の市場:実際に何が変わるのか
中国に進出する場合に行うのはGoogle SEOではなく、まったく別の分野であるBaidu SEOです。Baiduは、中国国内でホスティングされたコンテンツ(できればICPライセンスを持つ中国のサーバー上のもの)を優遇し、Baidu自身のサービス(百度百科、百度貼吧)を検索結果で非常に重視します。構造化データやサイトマップの形式にも、異なる技術基準があります。Googleの施策はそのままでは通用しません。
韓国のNaverは、純粋な検索エンジンというよりポータルとして機能しています。検索の多くが、Naver独自のコンテンツエコシステム(Naverブログ、Naverカフェ、Naver知識iN)の中で行われます。そうしたサービス内にプレゼンスを築くほうが、従来のリンク獲得よりも価値が高いことがよくあります。ロシアのYandexは、Googleと比べてユーザー行動のシグナル(滞在時間、直帰率)を特に重視するため、コンテンツの質とユーザー体験のシグナルがGoogle以上に重要になります。
現在のAI翻訳ツールは流暢な文章を出力しますが、流暢であることと自然であることは別物です。そして上位に表示されるのは自然なほうです。機械翻訳のコンテンツは、ネイティブスピーカーが決して書かない言い回しになりがちです。検索語彙の違いが考慮されないため、的外れなキーワードを狙ってしまいます。さらに、外国ブランドに寛容であるよりも言語の質にずっと厳しい現地の読者には、不自然に読まれてしまいます。上位表示を狙うコンテンツには、プロの翻訳者かネイティブのコピーライターを起用しましょう。社内文書やラフな下書きなら機械翻訳で十分ですが、公開するSEOコンテンツに使うのは、結果的に損をする安上がりです。
国際SEOは、調整の負荷が大きい分野です。市場ごとのキーワード調査、複数言語でのコンテンツ制作、hreflang実装のレビュー、市場別のリンク獲得が、すべて並行して進みます。FabricLoopでは、国際マーケティングチームが各市場のSEO施策を専用のボードで管理するか、共有ボード内のタグ付きビューで管理しています。そのため、各市場のコンテンツ制作、技術監査、リンク獲得の進捗が1か所で見えます。言語やタイムゾーンをまたいで仕事を進めるときは、見える状態にしておくことが、作業のばらつきを防ぐ鍵になります。
